「ごちそうさまでしたぁ」
エアーの力作のケーキは大好評だった。彼らも、もちろんも大満足し、お茶を飲みながら余韻に浸っている。
「…博士。そろそろ」
「おお、そうじゃな」
メタルが博士に耳打ちした。
「。落ち着いたのなら、プレゼントでも開けたらどうじゃ」
「わあい、待ってましたぁ!」
がソファから飛び上がってツリーへ駆け寄る。
「うーいよいよかぁ」
「なんか、ドキドキするね」
その姿の後ろで、クラッシュとウッドが顔を見合わせうずうずしている。
しかし、はまだ彼らのプレゼントに触ろうとはせず、ツリーの後ろに隠れてしまった。
「ええと、この裏に…あった!」
「…どうした、」
エアーが疑問を呈すと、彼女が包みを抱えて顔を出した。
「あの、わたしからもクリスマスプレゼントをって思って、みんなに…」
そう言うと、はそれぞれに渡し始めた。
「あっこれはクイックに」
「ま、マジかよ」
「フラッシュはこっちね」
「気ィきくな、サンキュ」
「これはバブル兄さんに」
「ありがとね、」
「えークラッシュにはこれ」
「わあーありがと!」
「こっちは…ウッドね!」
「うわ!うれしいなぁ」
「エアー兄にはこれだよ」
「…悪いな」
「ヒートちゃんにはこれね」
「えへー実は待ってたんだよー!」
「これは…メタル兄へ」
「…礼を言っておく」
「最後だけど、これは博士にだよ」
「おお、ワシにもあるのか。嬉しいのう」
「……」
一同、嬉しそうにしているが、包みを手にしたままだった。
「あれ、どうしたの?みんな開けないの?」
「いや、その…」
「せ、せっかくだから自分の部屋で開けるぜ、な」
「ほら、もう夜も遅いし?」
口ごもったエアーにクイックとウッドがフォローする。
彼女からのプレゼントの中身より、気になっていることがあるのだ。
…すなわち、今夜の彼女の所有権。
「だから今度はの番だよ!」
「そうだ。、プレゼントを開けろ」
クラッシュとメタルがに自分の分の開封を促した。
「え?何でわたしだけなの」
「いいからー早く開けなよ、ね!」
「どうせ全部あけんだろ?ぱっぱとやれ」
ヒートやフラッシュに急かされるも、は納得していない。
「ま、みんなのだし、逃げないから好きなのから開けたらいいよ」
バブルもやんわりと言うが、彼女は博士に助けを求めた。
「博士ー…」
「開けてやればいいじゃろう。皆がどんな顔をするか楽しみにしているんじゃよ」
「でも。わたしだって、みんなの反応が見たいのに!」
「。お前は一人でたくさんのプレゼントを貰うんじゃから、送り主たちの希望を叶えてやってもよいとは思わんか」
博士はに静かに諭す。
「うーん、でも…」
「そんなに反応が見たいなら、今夜は最初に包みを開けた奴の部屋に行って、見ればよい。それが奴らにとって最高の褒美じゃぞ?」
譲歩案に見せかけ博士は新たな条件を出したのだが、実のところプレゼントの中身が楽しみで仕方ないは気付かず、意思が揺らぎ始めていた。
「そ…そうなの?」
「そーなのそーなの!」
「いいのかなぁ」
「構わない。同意済みだ」
強い同調がその傾きを強くすることも、ままあることだ。
「うー、そうか…そうしようかなぁ。じゃあ…開けちゃおうかな」
「よしきた!早くしろ!」
「だから、そんな急かさないでって」
急かすクイックには少し困った顔をして笑った。
「んー、まずはどれにしようかな」
左右に動く彼女の視線を、彼らも追う。
「これにしようかなぁ」
「あっそれは!」
「シッ!!」
「触っただけじゃノーカウントじゃぞー」
一挙動ごとに反応する彼らを博士は愉しそうに見ていたが、それを気にするそぶりもなく、は選ぶのに熱中していた。
そして、ついに一つの包みをを手にして言った。
「うん、これにしよ!、開けまーす」
「!!」
彼女が開けたその中身は――。
フルーツ フレーバーの シャワージェル |
花のモチーフの 髪留め |
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チョコやキャンディ お菓子の 詰め合わせ |
グレー地に赤い チェックのマフラー |
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