'09 X'mas dream #4-B

--シャワージェルルートは自然な…流れ?--

「あっ、フルーツフレーバーのシャワージェルだ!いい匂いするー」

「あーそれ、おれからのプレゼント」
おれのを選んでくれた!
いやーツイていたんだなあ。ああカミサマがいるなら感謝したい気分だ。
「バブル兄?こんなにたくさん、ありがとう!」
喜んでくれて、おれもすごく嬉しい。選んだ甲斐があるってものだ。
「でも兄さん、…これはちょっと多すぎない?」
の抱えるプレゼントを見て、ウッドがおれに言った。
「そうかな?少ないよりいいんじゃないかな」
「バブル、幾ら使った?」
今度はエアー兄さんに聞かれる。
「いくら…?どうだったかなぁ、おっきいお札を5枚くらい出したけど」
「うわああぁやっぱり!さすがバブル兄だよ!」
「…だからこいつだけカード持たせらんねーんだよな」
クラッシュとフラッシュがひどい顔をしておれに言うけれど、何だっていうんだか。
に喜んでもらいたいと思ったら、出来るだけしてあげるのは当たり前のことだろう。おれはお店にある全種類を1ダースずつくださいって、そう頼んだだけなのに。
「バブルの場合は街に出ること自体少ないからの、貯まった小遣いの使いどころが限られておるからこうなるんじゃろうな…」
博士が小さく溜め息を吐いたような気がした。気に病むところなんて何かあったかな?

「博士、他のも開けていい?」
おれがあげた箱をいったんキチンと元に戻してから、彼女は博士に訊ねた。
「あー、勿論構わん。全部お前のものじゃ」
「やった!」
プレゼントを開けるは本当に楽しそうで、こういうパーティっていいものだなぁなんてしみじみ思ってしまった。…がいなかったらここまで盛り上がらなかっただろうけど。


。あとの片付けは皆でしておくから、バブルの部屋に行ってやりなさい」
「え、いいの?」
会話もひと段落したところで、博士がに声をかけた。
「ああ。そのまま泊まればよいじゃろう。準備して行きなさい」
「うん。ありがとうね、博士。みんなもプレゼントありがとう!」
は散らかしっぱなしのリビングを気にしていたが、しばらくして決心がついたらしい。もろもろのプレゼントを持って部屋を出ようとしていた。
ちゃん」
「あ、バブル兄〜」
おれはプレゼントを両手で抱えている彼女に声をかけた。
「重いでしょ?おれこっちの持つから、小さいのだけ持ちなよ」
「本当?助かるよ、ありがと!」
が持っていたうち、自分が渡した箱と、やけにかさばるひとつを持ってから博士に挨拶した。
「んじゃ博士、僕も行きます」
「おお、任せたぞ。楽しんできなさい」
機嫌のいい声だった。博士の企画的にも大成功、って感じなのかな。
「…スマートなエスコートだったな」
「あいつ、何であんな上手いんだよ」
なにか聞こえた気もしたけど、今はのほうが大事だ。おれは先を歩くの姿を追った。


の部屋におおかたのプレゼントを置いてから、一緒に自室に入った。
「楽しかったね、パーティ」
「ね!」
テーブルがないので、ベッドに腰掛けてさっきパーティの話をする。
「去年と全然違ったね」
「うん。あのときはまだウッドがいなかったしね」
そういえばそうだった。1年間でずいぶんと変わっているものだなあ。
「ヒートも出来て少ししか経ってなかったから、賑やかし成分が足りなかったかな?」
「エアー兄とクラッシュが外に行ってたのも大きいよ」
「ああ、そうだった!、よく覚えてるね」
「んー記憶力だけはあるんだ、なぜか」
えへへと少しはにかみ混じりには言った。彼女はここに来てからの記憶しかない、ということを思いだす。…それが一因なのかもしれない。

「そうそう。ツリーとかプレゼントとか、こんなに豪華になるなんて思ってなかったよ」
「あ、それはおれもびっくりした。ウッドがのためならーとかって、もみの幼木を丸ごと持ってくるんだもんなぁ」
ヘタに切るより鉢にしたほうが元に戻せるんだ、と言ってウッドは部屋に入るギリギリの大きさの株を運んできたのだった。
「張り切りすぎかなって思ったけど、部屋にしっくり合ってたね。そっちに驚いちゃった」
「また来年もやるんだろうね」
「だね。今からもう楽しみだよ」
「うわ、気が早いなぁ
こういうイベントはおれも大好きだ。できたら来年も、こうやってと話せたらなお嬉しい。

「あ、わたしがバブル兄にあげたプレゼント、開けてみてよ」
「おっけー。何が入ってるのかなあ」
「なんでしょー?」
彼女に言われて箱の包装紙を手早く破く(ここの国では丁寧にとるよりもこっちのほうが送り主に喜ばれるのだ)。すると、ゆるりと中のモチーフが動くディスプレイが現れた。
「フロートオブジェ、っていうのかな。水槽からも見えるようにちょっと大きめのにしてみたんだけど…」
「中のモチーフが可愛いね。ハートとかまるいのとかがフワフワしてる」
「そう、そうなの!」
本当、可愛らしいチョイスだったが、おれは気に入った。水の中でひとりのときでも、これを見たらを思い出せる。
「なんか、っぽくてすごくいい。ありがとう」
「どーいたしまして!」
この笑顔をおれだけに向けてくれてるってのも含めて、素敵なプレゼントだった。

「おれからのやつ、中身全部見た?」
「んーたぶん」
実はさっき一緒にの部屋にモノを置いてきたとき、全種類を数個づつこっちへ持ってきていた。
「マスカット、ココナッツ、バナナ、メロン…」
あとピーチにチェリーにストロベリー…けっこう買っていたんだなぁ。
「毎日シャワーに入るのが楽しくなりそう!」
おお、超好感触。カミサマに二度目のサンクスを言っておこう。
「いいのをあげられて、よかったよ」
うんうん、とおれは頷いた。
…で、この流れで本番いっていいかな?

「シャワージェルって使ったことある?」
「うーん、ないなぁ」
「ボディソープみたいにして使うのが基本だけど、もうひとつあってさ」
「へー」
「バスタブに入れて勢いよくお湯入れると、あわあわの入浴剤になるんだよ」
「そうなんだー、おもしろいね」
、どのジェルがいい?」
訊ねられて、ん?とがおれに聞き返す。おれは間を空けないで、でも喋りはマイペースなままでたたみ掛ける。
「いや、せっかくだからお風呂入ったらいいと思って。どれにする?」
「え?えーと…イチゴ??」
「おっけ。ちょっと待ってて、準備してくる」
おれはジェルを持って、浴室へ向かった。


「あの、バブル兄さん…」
戸惑った声でがおれの顔を見る。
「ん、どうした?」
「お風呂はありがたいんだけど」
「うん、どういたしまして。イチゴ、いい匂いだねー」
律義でいい子だ。頭を撫でたくなる。
「ねー。いやいや…そうじゃなくて、何で一緒に入ろうとしているの」
「だって、おれの部屋のだよ」
「そうだけど!そうじゃなくって!!」
風呂場と隣り合わせの脱衣所で叫ぶものだから、くわんくわんと声が反射した。
「風呂場は響くよ、。おれ隣にいるんだからさ」
「…うわあぁ、兄さんのばかあぁ!」
あらら。ついに爆発、って感じ。ちょっとやりすぎちゃったかな。
話を無視してたわけじゃないんだけどなぁ。今度こそ頭を撫でて優しく言おう。
「えーとね。もう遅いし、おれも風呂に入りたいし、だったら一緒に入れば効率いいかなって。おれのところはけっこう広いし、いけるいける」
「や、でも恥ずかしいってば!」
お。イイ感じに混乱してる。
「ベッドはよくてなんで風呂はダメなの。風呂差別だ」
おれがお風呂(正確には温泉)好きっては知っている。ちょっと怒ったふりしたら、するっといけないものかなあ。
「差別とかじゃないから、違うから!」
まだムリか。うーん、押してダメなら…そうだ。
…その気にさせればいいんじゃない?

、困らせてごめんね」
「わっ」
ごめんね、機嫌直して?とわざわざ後ろから抱きしめる。手はの腕の下から通した。こうするとジタバタされても離れにくいはずだ。
「おれ、が好きすぎて。…無理言ってたよね」
「に、兄さん…」
あ、このワンピース、後ろにチャックがある。
ラッキーだ。…カミサマに感謝、三回目。
「だって、きみの声も、仕草も、ちょっと困った顔も、優しいところも、この身体も、みんな…全部好きなんだ」
「……」
出来るだけやさしく、やさしく声を出す。うなじに吐息が触れているだろう。そのまま、ちゅっと音を立ててキスをした。
「嫌がることは、しないよ」
ここで舌出したら、反則かな?でも今日は勝ちにいこうと思う。特別な夜だし。…もしかしたら、おれもこのイチゴの香りに中てられちゃってるのかも。
もうすぐ、のほうから熱くなってくると思うんだ。
これ、名付けて北風と太陽作戦…なんてね。

☆★☆



←BACK | RETURN TO "SPECIAL" MENU || ...WEB CLAP?


こんな流れにしてすいません。本当すいません。
バブル兄さんは見る人が見ればやらしさ全開ですね。
ジェルの種類でピンと来た人にはわかるはずです。セリフ部分を点抜きで検索すると…これはひどい。
でも表向きはすごい優しいいい人です。こういう人こそおそろしいのだ!

◆全員分を読んじゃった貴女に――
クリスマス企画反省会会場はこちら。(ブログ・別窓)