'09 X'mas dream #4-Q

--ぬいぐるみルートは、結果all right…?--

「んーおっきいと思ったら、ぬいぐるみだ!これ、いま流行ってるキャラだよね!」

「…っしゃー!」
封を開けてぬいぐるみを見つめるを横に、オレは派手にガッツポーズをした。
「んだよ…クイックかよ」
「よりによってクイックにーちゃんとか…」
「……」
周りの反応とかはどうでもいい。運でもなんでも、アイツがオレのを一番に選んだんだからな!

一番…。あーなんていい響きだ……。
「クイック、クイックー?」
なんか揺すられていると気づいて見たら、だった。
「はっ、な、何だよ!」
「これ、クイックが選んでくれたの?」
「まーな!」
当然だろ。
「ずいぶん大きいのにしたんだね」
「やっぱりプレゼントするなら一番デカくないとな。目立つし。」
目を丸くするに、オレはちょっと得意になって言った。街からコレを抱えてくるのは大変だったが、その甲斐もあったってモンだ。
「お…重たそうだね」
だがアイツの反応は逆で、困った顔をしてしまった。しまった…やりすぎたか?
「…クイック、運んでやれよ」
メタルがとオレに冷めた目を向けた。気の回らない奴、とでも言いたげだ。
「う、言われなくてもするって!」
クソ、どうせオレはこーいうのがヘタだよ。兄貴みたいには出来ないけど、うらやましいとか思ってないからな。…オレはオレだし。

「博士、他のも開けていい?」
「勿論構わん。全部お前のものじゃ」
「やった!」
うきうきと他の包みを開け、はヤツらと話している。好きにしやがれ。なんたって今夜はオレのもんだからな。


。あとの片付けは皆でしておくから、クイックの部屋に行ってやりなさい」
「え、いいの?」
会話もひと段落したところで、博士がに声をかけた。
「ああ。そのまま泊まればよいじゃろう。準備して行きなさい」
「うん。ありがとうね、博士。みんなもプレゼントありがとう!」
は散らかしっぱなしのリビングを気にしていたが、やがてもろもろのプレゼントを持って部屋を出た。
「オレも先抜けしていいんだろ?」
「うむ。しっかりやりなさい、クイック」
「やっ…やり、…。あーうんそうだな、了解わかったぜじーさん」
ジジイ、どっちの意味だ!どっちもか?そうなのか?
引っかかってブレてるオレはすげーカッコわりい。弟のクセに意地の悪いヤツがニヤついたのが見えて、さらに胸くそが悪くなったからとっとと部屋を出ることにした。
もちろん、ぬいぐるみはオレが持っていった。


いったん物を置いて、アイツはオレの部屋へ来た。オレは直接ここに来たから、ぬいぐるみはそのままだ。
「それにしても頑張って買ったね、これ」
がぬいぐるみの頭を撫でながら言う。
「あー、まあな」
店のヤツにオレより少し年下の女が好きそうな物をくれと聞いたら、コレだと言われただけなんだが…。それなのに、いざ買おうとしたらなぜか店員が焦り出して、よくわからなかった。
ここまで運ぶのはかさばって面倒だったが、コイツが喜ぶならと思っ…いや何でもない。
「ふかふかだなぁ。いいね。このふかふか!」
大きなぬいぐるみにが埋もれている。すげぇ笑顔。
あんな顔したってだけでも、買ってよかったと思う。
やっぱり女ってのはこういうのが好きなんだよな。…店員、よくやった。オレも、一人じゃ絶対入らないようなキラキラの女子シュミの店によく入った。ハズかったけど入ってよかった。
「…あっそうだ、クイックも開けてよ。わたしからのプレゼント!」
の表情に見とれて、そのことをうっかり忘れかけていた。そんなプレゼントとか無くても、オレは当たりを引いたから十分なんだけどな。

は気になっているようなので、ソファで貰った箱を開けてみると、腕時計が入っていた。アナログタイプだがカジュアルで、街に出るときのオシャレ用といった感じだ。
「クイックもみんなも体で時間は計れるけど、こういうのあってもいいかな〜って…」
どうかな、気に入った?とは隣で興味津々にオレを見つめる。コイツから貰ってイヤなわけがないのに。
「あー。自分でネジ巻くやつか?忘れそうだなー」
…それで何でこういう言い方になるんだ、オレは!
「…気に入らなかった?」
「ばっ、ちが、…悪くはないな」
だからって今度はカッコつけてどうするんだ…。
「あぁその、気が向いたときでいいから…使ってみて…」
ヤバい。落ち込んでいる。なんか、なんか言わないと…!
「その…そうじゃなくて、こんなのなくてもオレはいいんだよ!」
勢いに任せての手を握り、オレは言葉を続けた。

「おまえと一緒にイヴ過ごせるのが一番嬉しいから、他にはいらねーんだ」
「……」
じっと目を見つめて、の声を待ったがなかなか喋ってくれなかった。間に耐えられなくなって、小さくコイツに聞いてしまった。
「…わかったかよ」
「クイック、それ本当?」
「オレがウソ大嫌いなの知ってるだろ」
「…そうだった」
それはもうずっと前から言っているので、疑るだけムダなことだとも感じたのだろう。

「だから、ずっと朝までこーやって…手繋いで一緒に寝てたい。」
いいよな?と今度はうかがうようにを見やると、その彼女の視線が急に泳ぎだした。なんか、顔とかどんどん赤くなっている。大丈夫か…?
「クイックって…やっぱカッコいい」
「は?」
「反則だよ」
え?え?
オレ、ズルとかしてないけど!?
「わたし、クイック好きだもん。わたしも一緒にいたいよ?」
えええ、いきなりいい感じなのはどうしてなんだ?
「オレだっておまえのこと、すげー好きだからな」
とりあえずコイツに負けないくらいに好きだということは伝えておこう。
「ん、嬉しいな」
はホントに嬉しそうだ。よくわからないが、よかった。
…キスくらいしても、大丈夫だよな?

優しくの唇にキスすると、もっと欲しくなって何度もその柔らかさに触れた。どちらともなくだんだんとカラダが近づいて、いつのまにかゼロになっていた。いったん唇を離すと、の幸せそうな表情にくらっとした。こっちにもその幸せがうつって、もっと気分が昂ぶっていく。
「あぁ…マジで大好きだ、
「クイック……んっ」
オレはの腰を抱き、はオレの背中に手をまわす。
すげぇ苦しい。息ができない。…でも、これがめちゃくちゃによかった。
もう朝は来なくていい、とさえ思った。来なかったらと離れる必要だってない。
早寝早起きはできなくなるが、オレは願った。…このまま夜が――ずっと続けばいい。

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ああ、クイック書けて本当によかった。クイックさんは「なんかうまくいっちゃう」というイメージ。
途中までガタガタになっても、やることはやる。できちゃう。そんなラッキー体質。
ヒロインさんはクイックの内心まで読めないと考えると、カコイイセリフ+イケメン補正でけっこうクラクラ来ちゃうと思うよ。

◆全員分を読んじゃった貴女に――
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