『に向けて通信したのに、なぜあなたが出る?』
「あー…と、は今いねーんだよ。だから仕事に戻れって」
『会いたいのはクイックじゃない。邪魔だ、どあほうめ』
「おまえいつもボンヤリなのに、今日はなんでキッツイんだよ…」
『わたしはクイックとは違って真性のどあほうではない』
「ンだとマグっ!」
『クイック。戦闘だけでは、他で勝てないよ』
「……ッ」
『もういいから、と通信させてほしいんだが』
「や、そう言うなよ!」
『…メタル、居るんだろう?ちょっと出てきてほしい』
「……」
『あなたが最も彼女の近くに居るくせに、あのどあほうを使ってまでとわたしの恋路を阻むとは――DWN全ての長として如何なものか』
「……」
「メタル兄ー?庭に洗濯物なんて落ちてなかったよ!…あれっ、マグ兄さんの通信来てたの?!ちょっとクイックどいてっ!」
「うわっ!(…なんでメタルどかさないでオレなんだよ!)」
「ごめんねメタル兄。マグ兄からこんな時間に通信が来るなんてなかなか無いから…ダメ?」
「…、5分以内だ」
「うん。わかった」
『…もう少し彼女を自由にしてあげられないのか、メタル?』
「……」
「マグ兄さん!どうしたの?久しぶりだね!」
『ああ。やっと顔を見られた。いい酒が手に入ったので、あなたと話しながら呑みたくなったんだ。…兄上殿にいじめられてはいないか?』
「や、そんなことはないと思う、けど」
『近くに居られないからね、わたしはいつも心配しているんだ』
「ありがとね。わたしもマグ兄さんがいつも元気でいるか心配してるよ」
『…想われているな、わたしも』
「もちろんだよ!」
『ん、嬉しい返事だ。今度会ったら沢山可愛がってあげるから、それまで一人で啼いたら駄目だよ』
「…うん」
『あと、兄上たちに可愛がられても適当に流すように。特に長兄殿のとき』
「う、うん…」
「……」
『大好きなマグ兄さんとのお約束、守れるか?』
「…ん。守るよ」
『よろしい。わたしもと会うのが待ち遠しい』
「。時間だ」
「え、もう…?」
「回線を切る。切る…斬る…キル…」
「、頼むからそろそろ止めてくれ…。まずオレが殺されんだよ…!」
『はあ…同じ“兄”という表現でも、メタルとわたしではその意味が異なるというのに…いい加減認めるべきだよ、長兄殿。…ではな』